現役FPが生命保険12社の就業不能保険を徹底比較してみた

保障性商品(医療・入院・介護・死亡への備え)
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今年7月、日本生命が新商品「収NEW in 1」を発売しました。昨今、生命保険会社は、入院による収入減少に備えるべく、就業保障保険の普及に注力しています。

金融マン夫
金融マン夫

日々の生活の中には、不慮の交通事故やケガ、病気により、入院するリスクが潜んでいます。

私たちFIREを目指す人は、会社からの給料を元手に、定期的に資産運用をしていますが、入院すると医療費や入院費で出費が増えるだけでなく、給料が減ってしまいます。就業不能保険で入院時の収入減少リスクに備えることにより、FIREに向けた資産積立て計画に支障を来すことを一定防止することができます

この記事では、就業不能保険の商品性、市場動向、各社商品の違いについて丁寧に解説しています。就業不能保険の加入を検討している人はもちろん、見直しを検討の方も是非最後まで読んでくださいね。

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結論

  • 入院による家計の備えとして、就業不能保険を活用しよう
  • 給付金の支払事由・限度額は各社各様であり、自分に合った保険商品を選ぶことが大切
  • 金融のプロであるファイナンシャルプランナーと納得いくまで相談し、自分に合った生命保険に加入しよう

就業不能保険とは

就業不能保険とは、その名の通り、入院等により就業できなくなった場合の収入を補填する生命保険商品のことを指します。

生命保険文化センターが実施した「経済的な備えに関する不安感」に関するアンケートによると、「老後の資産形成の不安」の70%を上回る73%の人が「就労不能時の生活資金」の備えに対して不安を持っていることが分かります。また、退院してからも回復期間として休養やリハビリ等が必要となり、直ぐに入院前と同様の働き方ができないことから、収入の減少は入院期間だけではなく復職後も継続します。

では、入院に対し、実際にどの程度の備えが必要なのでしょうか。まず、入院日数が増えれば増える程入院への備えが必要になってくることから、どの程度の入院日数が一般的かを見ていきましょう。

平均的な入院日数とは

厚生労働省の調査によると、入院日数が1~13日以内の入院は67.3%、2週間以上のケースは全体の32.7%と、3人に1人が14日以上の入院をしていることが分かります。

金融マン夫
金融マン夫

昨今は医療が進んだことで入院日数が短くなり、「日帰り入院」といった言葉も聞きますが、月の半分以上も入院するケースは結構多いということが分かりますね。

アンケート結果を詳しく見ていくと、30日以上入院したケースは16.2%あり、凡そ6人に1人が1か月以上入院していることが分かります。手術に加え、入院しながら経過観察したり、リハビリしたりすると、1か月以上も会社を休むことがある、ということですね。手術や入院代で支出が増える上に1か月の休暇で収入も減るのは大きな痛手といえます。

さらに、6割の人が退院後の収入が減少したというアンケート結果もあります。これは、退院直後は回復期間が必要なため、入院前のようなフルタイムでの働き方が直ぐにできないことが原因の一つです。14日以上入院した人が入院前の収入を回復するまでにかかった期間は凡そ6か月ですが、3割の人は退院から6か月以上経っても元の収入水準に戻っていないことが分かります。

1か月以上入院が必要な傷病につき、代表的な例を挙げておきましょう。大腿骨が骨折した場合、入院日数の平均は33日となっています。特に女性に多いケースですが、年齢と共に骨密度が減り、少しの衝撃で骨粗しょう症が起こります。また、脳梗塞の場合には、入院日数は39日となっています。日本人がかかりやすい3大疾病の一つなので、他人事ではないですね。他にも、気分障害の場合では69日と、2か月超入院することになります。

疾病の入院日数は年齢によって変動しますが、年齢を重ねる方が入院日数が長くなる傾向があります

就業不能保険を取り扱う生命保険会社

7割以上の人が就業不能時の生活資金に対する不安を持つ中、近年、入院等により就業できない場合のリスクに備える就業不能保険を取り扱う保険会社が増えています

2016年には、ライフネット生命、アフラック生命、チューリッヒ生命の3社のみが取り扱っていましたが、現在では12社に増加しています。生命保険会社も、世の中のニーズをキャッチし、商品開発に力を入れているのですね。

就業不能保険には、大きく2種類のタイプがありますので、加入前にどちらがご自身のニーズに合っているか確認が必要です。1つ目のタイプ(A)は、2か月程度の長期入院時に満期まで給付金を支払う商品です。2つ目のタイプ(B)は、1か月程度の比較的短期の入院時に一定期間給付金を支払う商品です。以前は長期入院時の収入減を保障するAタイプが主流でしたが、昨今では入院日数の短期化が進む中、タイプBの商品が主流となりつつあります。

金融マン夫
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では、どの生命保険会社がどのタイプの就業不能保険を取り扱っているか確認していきましょう。

タイプAのみを取り扱っている会社は、東京海上あんしん、SBI、アクサダイレクト、ライフネット、チューリッヒ、アフラックで、いわゆるカタカタ生保が中心です。タイプBのみを取り扱っている会社は、第一、大樹、明治安田で、伝統的な生命保険会社といえますね。そして、タイプAもタイプBも両方扱っている会社は、太陽、日本、富国となっています。

生命保険会社AタイプBタイプ
東京海上日動あんしん生命 
SBI生命 
アクサダイレクト生命 
ライフネット生命 
チューリッヒ生命 
アフラック生命 
第一生命 
大樹生命 
明治安田生命 
太陽生命
日本生命
富国生命
生命保険会社別就業不能保険商品の取り扱いタイプ
金融マン夫
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タイプAとタイプBに優劣はありませんので、ご自身の遺伝的要因や傷病リスクを踏まえてタイプを選び、その上でご自身に合ったタイプを選ぶことが大切です。

生命保険商品は複雑な構造をしていますので、保険のプロに相談することが自分に合った商品を選ぶことにつながると思います。

生命保険会社の営業職員は、自社商品の支払条件にのみ詳しいため、両方のタイプを比較したい場合は、複数社の商品を扱っているファイナンシャルプランナー(公式サイトはこちら)に相談することをおすすめします

【徹底比較】生命保険各社の就業不能保険商品

では、生命保険各社の就業不能保険商品の商品タイプ、支払事由等につき、比較していきましょう。

東京海上日動あんしん生命

  • 商品名:あんしん就業不能保障保険
  • 商品タイプ:タイプA
  • 支払事由:5大疾病による入院・在宅療養、所定の障がい状態、所定の介護状態
  • 支払事由までの日数:60日
  • 支払期間:給付金支払期間まで
  • 支払限度:なし
  • この商品の特徴は、障がい状態と介護状態に陥った場合も保障の対象となる点です。例えば交通事故により入院だけでなく、介護が必要なケースでも保障される点は嬉しいですね。
  • 参考:東京海上日動あんしん生命

SBI生命

  • 商品名:働く人のたより
  • 商品タイプ:タイプA
  • 支払事由:入院、在宅療養
  • 支払事由までの日数:60日
  • 支払期間:満期まで
  • 支払限度:なし(精神疾患は通算18回)
  • 参考:SBI生命

アクサダイレクト生命

  • 商品名:アクサダイレクトの働けないときの安心
  • 商品タイプ:タイプA
  • 支払事由:入院、在宅療養、障がい等級2級以上
  • 支払事由までの日数:60日
  • 支払期間:満期まで
  • 支払限度:なし(精神疾患は通算18回)
  • 参考:アクサダイレクト生命

ライフネット生命

  • 商品名:働く人への保険2
  • 商品タイプ:タイプA
  • 支払事由:入院、在宅療養
  • 支払事由までの日数:60日、または、180日
  • 支払期間:満期まで
  • 支払限度:なし

チューリッヒ生命

  • 商品名:くらすプラス
  • 商品タイプ:タイプA
  • 支払事由:入院、在宅療養、高度障がい、身体障がい状態
  • 支払事由までの日数:60日
  • 支払期間:1、2、3、5、10年
  • 支払限度:なし
  • この商品の特徴は、高度障がいの場合も支払事由としている点、支払期間を選択できる点です。例えばご自身の家系に、高度障がいにより長期間の入院が必要な病気にかかった方がいる場合は、このような商品を選ぶのが良いでしょう。

アフラック生命

  • 商品名:病気やケガで働けなくなったときの給付サポート保険
  • 商品タイプ:タイプA
  • 支払事由:入院、在宅療養、障がい等級2級以上
  • 支払事由までの日数:60日
  • 支払期間:満期まで
  • 支払限度:なし

第一生命

  • 商品名:ジャスト就業不能保険
  • 商品タイプ:タイプB
  • 支払事由:入院、在宅療養
  • 支払事由までの日数:短期就業不能給付金14日、就業不能給付金30日
  • 支払期間:6か月
  • 支払限度:給付金それぞれ10回(60か月分)
  • 参考:第一生命

大樹生命

  • 商品名:大樹セレクト 働く人応援ほけんくらしエール
  • 商品タイプ:タイプB
  • 支払事由:入院、在宅療養
  • 支払事由までの日数:30日
  • 支払期間:12か月
  • 支払限度:1回(12か月)
  • この商品の特徴は、明治安田生命商品と同様に、支払期間が12か月もある点です。長期入院時の備えとしては、手厚い内容となっています。
  • 参考:大樹生命

明治安田生命

  • 商品名:ベストスタイル 給与・家計サポート特約
  • 商品タイプ:タイプB
  • 支払事由:入院、在宅療養
  • 支払事由までの日数:30日
  • 支払期間:12か月
  • 支払限度:2回(24か月)
  • 大樹生命商品同様、支払期間が12か月に及ぶ点は特徴的。大樹生命に比べ、支払限度が2倍になっています。
  • 参考:明治安田生命

太陽生命

  • 商品名:保険組曲Best 働けなくなったときの保険(Ⅰ型)
  • 商品タイプ:タイプA・B
  • 支払事由:入院、要介護2
  • 支払事由までの日数:早期就業不能給付金30日、就業不能年金180日
  • 支払期間:早期就業不給付金5回、就業不能年金満期まで
  • 支払限度:早期就業不能給付金36か月、就業不能年金なし
  • この商品の特徴は、タイプA・タイプBの両方の特性を持っている点です。また、就業不能年金については支払限度が無い点も嬉しいですね。太陽生命は、生命保険業界の中でも先進的な商品開発力を持っており、就業不能保険に限らず、世の中のニーズに合わせた良い商品を販売していると思います。
  • 参考:太陽生命

日本生命

  • 商品名①:みらいのカタチ 収New in 1
  • 商品タイプ:タイプB
  • 支払事由:入院
  • 支払事由までの日数:14日
  • 支払期間:6か月
  • 支払限度:60か月
  • この商品の特徴は、支払事由が「14日間の入院」とシンプルかつ短期間、かつ、支払限度が5年間もある点です。長期入院に備えたい方にとっては、おすすめ商品です。
  • 商品名②:もしものときの…生活費(2021年7月に販売停止
  • 商品タイプ:タイプB
  • 支払事由:入院、在宅療養、障がい等級2級以上
  • 支払事由までの日数:60日
  • 支払期間:満期まで
  • 支払限度:なし(精神疾患は通算18回)
  • 参考:日本生命

富国生命

  • 商品名:未来のとびら はたらくささえプラス
  • 商品タイプ:タイプA+タイプB
  • 支払事由:入院、在宅療養
  • 支払事由までの日数:就業不能不給付金30日、就業不能年金1年
  • 支払期間:就業不能給付金12か月、就業不能給付金70歳まで
  • 支払限度:就業不能給付金10回、就業不能年金なし
  • 参考:富国生命

金融プロのいち押し就業不能保険商品はこれ!

ここまで、12社の就業不能保険商品を比較してきましたが、種類が多いと選ぶのが難しいですよね。そこで、金融のプロである私のおすすめ商品をお伝えします。

【おすすめ4社就業不能保険の比較表】

生命保険会社第一生命日本生命明治安田生命大樹生命
商品名ジャスト就業不能保険みらいのカタチ 収New in 1ベストスタイル給与・家計サポート特約大樹セレクト働く応援ほけんくらしエール
支払事由・入院 ・在宅療養・入院・入院 ・在宅療養・入院 ・在宅療養
支払事由迄の日数・短期就業不能給付金:14日 ・就業不能給付金:30日14日30日30日
支払限度60か月60か月24か月12か月
金融のプロがおすすめする就業不能保険比較表

私のおすすめは、第一生命の「ジャスト就業不能保険」と日本生命の「みらいのカタチ 収 New in 1」です。では、その理由を解説しましょう。

ポイントは2点です。1点目は、支払要件が短いことです。両商品とも、14日間の入院で給付金が支払われます。せっかく生命保険に加入したのなら、きっちり給付金を受け取りたいですね。他の生命保険会社の場合、支払条件が短くても30日、長ければ60日や180日と、入院期間が短縮化されつつあるこの時代に沿わないのではないでしょうか。

おすすめポイントの2点目は、給付金の支払限度が長いことです。両商品とも、最長で5年間支払われますので、相当手厚い保障内容と思います。他の生命保険会社の商品の場合、短いもので1年間となっていますので、比較すると第一生命・日本生命の商品の良さが見えてきますね。

まとめ

この記事では、平均的な入院日数の状況、就業不能保険の商品性、各社商品の違いを解説してきました。ケガや病気による入院は誰にでも起こりうるリスクです。

早期リタイア(FIRE)のために計画的に資金を貯めている方にとって入院は、治療費の支出増に加えて、収入の減少が同時に起こるため大きな痛手となります。計画的なFIREを目指すため、就業不能保険で備えることをおすすめします。

生命保険商品には就業不能保険にも魅力的な商品が沢山ありますが、複雑な商品が多く、個人で最適な商品を選ぶことは簡単ではありません。高度な金融商品の知識を持つファイナンシャルプランナー(公式サイトはこちら)と納得いくまで相談し、自分に合った保険に加入することをおすすめします

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