2020年4月、日本生命は新商品「認知症保障保険 認知症サポートプラス」を発売開始しました。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」は、認知症と診断された場合に加え、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断された場合も保障しており、通常の認知症よりも保障範囲が前広な認知症保障保険といえます。
第一生命や太陽生命など、他の生命保険会社の認知症保険では軽度認知障害を保障対象としていませんので、カバー範囲は日本生命の方が広くなっています。
日本では、「人生100年時代」と言われる長寿化の時代が到来しており、今後75歳以上の後期高齢者が年々増加する中、認知症は社会課題の一つといえます。認知症保障保険 認知症サポートプラスでは、軽度認知障害(MCI)まで保障対象としており、保険一時金を利用して認知症の早期発見や重症化予防を図ることができます。
この記事では、日本生命の新商品「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の保障内容、保険料、加入時の注意点・メリデメにつき詳しく解説しますので、是非最後までご覧ください。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の3つの特徴
特徴① 認知症診断時に加え、軽度認知障害(MCI)診断時に一時金を受取れる
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」では、保険期間中に、①傷害または疾病を原因として所定の認知症に該当したとき、②認知機能検査および画像検査により、所定の認知症と医師によって診断されたとき、認知症診断保険金額を一時金で受け取ることができます。
さらに、①傷害または疾病を原因として所定の経度認知障害(MCI)に該当したとき、②認知機能検査および画像検査により、所定の経度認知障害と医師によって診断されたとき、認知症診断保険金額の10%を一時金として受け取ることができます。
第一生命の「認知症保険(無解約返還金)(2019)」や太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」では、軽度認知障害を保障対象としていませんので、日本生命の「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の方が幅広い保障対象としています。
ニッセイの認知症保険は、他社に比べて充実した保障内容といえますね
さらに、軽度認知障害の診断確定を受けないまま認知症と診断された場合、認知症診断保険金額が10%割り増しで受け取ることができます。つまり、認知症は通常、軽度認知症と診断された後に認知症が診断されますが、いきなり認知症と診断された場合には軽度認知症として診断された場合に受け取れるはずだった保険金額を同時に受け取れる、ということです。
なお、「認知症保障保険 認知症サポートプラス」は、日本生命が認知症診断保険金を支払った時点で契約は消滅されます。
特徴② 死亡保障が付いている
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」には、認知症診断保険金額の10%の死亡保障が付いています。そのため、「認知症への備え」に加え、少額ですが「死亡への備え」も同時にすることができる点はお得ですね。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」に加入していると、認知症になったときには、認知症診断保険金を受け取ることができ、認知症にならずに亡くなった場合は死亡保険金を受け取ることができる、ということです。
特徴③ 認知症に関するトータルサポートサービスが付帯
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」には、認知症・軽度認知障害と診断された場合の金銭的な保障に加え、加入から保険金の支払い後までをトータルでサポートするサービスが付いています。
サービスのコンセプトとして、①「わかる」では認知症を正しく理解するためのガイドを、②「そなえる」では判断意思が無くなった場合でも本人の意思を実現するためのサポートを、③「やってみる」では認知症の早期発見・重症化予防につながる行動を促すサポートを提供しています。
それぞれについて、以下で詳しく解説しています。
①わかる:認知症を正しく理解するガイド
認知症については、直面するまで分からないことだらけですよね。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」に加入すると、認知症の症状や認知症の方を支える方法、困った際の相談先など、認知症に関する情報提供を継続的に受け取ることができます。
このガイドは、東京医科歯科大学脳統合研究センター認知症研究部門監修の下で作成されていますので、内容も最新の情報となっています。
認知症は早期発見が大切です。「(「早期発見のための検査)」を行うこともおすすめです。
②そなえる:判断意思がなくなった本人の意思を実現
認知症になると、判断能力が低下するため、保険金の請求や財産の管理が難しくなることがあります。
認知症になる前に、将来保険事故が発生した場合にどうするかを決めておくことが大切です。「認知症保障保険 認知症サポートプラス」では、判断能力がなくなった本人の意思を実現する方法として、無償の「指定代理請求制度」と、有償の「Grand Age Star」サービスを提供しています。
指定代理請求制度
指定代理請求制度とは、保険加入時に指定代理人を指定することで、保険事故が発生した際、被保険者本人が認知症などで保険金請求ができない場合に、代わりに指定代理人が保険金請求ができる制度です。保険金支払い漏れ防止の観点から、日本生命は定期的に指定代理人に通知物を出すなどして確認します。
認知症になり、自身が保険契約に加入していたか忘れてしまう可能性がありますよね。ファイナンシャルプランナーとして、認知症保険には指定代理請求制度を使うことは必須だと思います。
Grand Age Star(グランエイジスター)
Grand Age Starは、日本生命の有償任意後見サービスで、いわゆる「終活」サービスと言えます。
認知症などにより判断能力が低下した場合、身近な人に判断能力を補足してもらう民法上の制度として成年後見制度などがありますが、身近に頼れる人がいない場合のサービスとして日本生命がGrand Age Starを提供しています。
日本生命のGrand Age Starは社会的意義の高い良い商品ですよ
認知症保障保険に加入する際、指定代理人として指定する人が身近にいない場合は、Grand Age Starも合わせて加入することで、同サービスの一つとして一般社団法人「シニア総合サポートセンター」を指定代理人に指定することができます。
③やってみる:早期発見・重症化予防につながる行動
認知機能の異変を早期に検知しケアすることで、認知症の発症を遅らせる効果が期待できると言われています。「認知症保障保険 認知症サポートプラス」では、認知機能のセルフチェックや、予防に効果があるとされる運動や脳のトレーニングなど、早期発見や重症化予防につながるサービスを提供しています。
例えば認知機能のチェックとして、アプリ上で質問に対して回答することで測定できるものがあります。質問には、「今日は何月何日何曜日ですか?」、「朝ごはんは何を食べましたか?」などのがあり、AIが機械的に測定します。
④認知症・介護に関する相談窓口
認知症は本人に加えて、家族にも負担がかかります。本人や家族は、直面するまで認知症について詳しくなく、心身ともに疲弊することがあります。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」では、付帯サービスとして、複数の相談窓口を設けています。
相談サービス① 認知症・介護あなたのそばのコンシェルジュ
日本生命と提携しているニチイ学館のケアマネージャーに、認知症や介護に関して電話相談ができます。さらに、必要に応じて適切な窓口の紹介などの情報提供もあります。
介護のプロであるニチイ学館による相談サービスなので安心ですね
相談サービス② 認知症ウェブサイト100年人生レシピ
日本生命が運営する認知症ウェブサイト「100年人生レシピ」では、認知症の人やその家族へのインタビュー記事を提供しており、認知症の実態を実体験をもとにしたストーリーで知ることができます。その他にも、認知症の重症化予防に役立つコラムなど、充実したコンテンツを提供しています。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の主な取扱い
何歳まで入れる?主な取扱い内容
- 契約年齢:40~75歳
- 保険期間:5年~終身
- 保険料払込期間:全期払・短期払
- 保険料払込回数:月払・年払
- 解約返戻金:なし
- 付加可能な給付特約:保険料払込免除特約
FPおすすめの契約内容の設定
保険期間や保険料の支払方法など、どのようにすると良いのか判断に迷いますよね。
おすすめの設定を理由と共に説明します!
①保険期間
保険期間は「終身」をおすすめします。認知症は年を重ねるごとに罹患する可能性が増しますので、5年などの定期期間で契約すると、「いざ」というときに保険金を受け取れない可能性があります。認知症への備えは「終身」にするのが良いでしょう。
②保険料払込期間
保険料払込期間については、年齢や収入によっておすすめ内容が変わります。
まず、現役世代で定期的な収入がある場合、短期払として、リタイアまでに保険金を支払いきるのがおすすめです。リタイア後に、貯蓄を切り崩したり、年金から保険料を支払うのはつらいですよね。「収入がある間に保険料を前払いする」と考えると良いでしょう。
次に、リタイア後の場合やリタイア直前の場合、全期払をおすすめします。全期払は、短期払に比べて月々の保険料が安く設定されています。定期的な収入が無い場合には、少額を保険料として支払う方が家計にとって良いと思います。
③保険料払込回数
手元にどの程度の資産があるかによって、払方のおすすめは変わります。
まず、手元に一定のまとまったお金がある方には、年払をおすすめします。年払は、1年間の保険料を一括して支払う方法ですが、払込保険料総額は月払よりも安く設定されています。これは、向こう1年分の保険料を前払しており、その分の利子を生命保険会社が割引いているからです。
次に、手元に一定のまとまったお金が無い場合は、月払が良いでしょう。合計の支払金額は年払よりも高くなりますが、一度に支出する保険料自体は安く抑えられます。
④保険料払込免除特約
保険料払込免除特約とは、高度障がい状態など、就労できない状態に陥った場合にその後の保険料の支払いを免除する制度です。このような状態になってまでも保険料を支払うのは経済面で相当厳しいと思います。
たとえば、自身が事故などで高度障がい状態で寝たきりになったとして、保険料を家族や自身の貯蓄から支払っていくのはかなり辛いですよね。
そのため、私は全ての方に保険料払込免除特約を付加することをおすすめします。
生命保険には複雑な制度が多数あり、自身で選ぶのはとても難しいことです。まずは、専門のファイナンシャルプランナーに「無料保険相談」することをおすすめします。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の加入時の注意点
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の認知症診断保険金・軽度認知障害診断保険金に対する保障については、責任開始日から1年間は不担保期間となっています。つまり、契約しても、1年間は認知症や軽度認知障害と診断されたとしても、保険金が支払われないことになりますのでご注意ください。
「そろそろ備えないと」と思う前に加入することが大切ですね。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の保険料
それでは、気になる保険料を見ていきましょう!
保険期間「終身」の場合の保険料
契約年齢 | 男性 | 女性 |
40歳 | 4,720円 | 5,685円 |
50歳 | 7,135円 | 8,685円 |
60歳 | 11,930円 | 14,550円 |
70歳 | 20,545円 | 26,170円 |
保険期間「10年」の場合の保険料
契約年齢 | 男性 | 女性 |
40歳 | 1,010円 | 890円 |
50歳 | 1,630円 | 1,475円 |
60歳 | 6,215円 | 5,670円 |
70歳 | 15,030円 | 18,045円 |
保険期間「終身」の方が保険料は高く設定されていますが、高齢になるに連れて認知症リスクは高まります。認知症への備えは「終身」を強くおすすめします。
また、太陽生命や第一生命など、他社も認知症保険を出していますので、比較してみると良いでしょう。
「認知症保障保険 認知症サポートプラス」の開発背景
認知症患者人口と政府の方針
高齢化社会が進む日本では、認知症人口は年々増えており、2012年の462万人から、2025年には730万人、2035年には920万人にまで増加するという試算もあります。
こうした状況を踏まえ政府は、2019年6月にとりまとめた「認知症施策推進大綱」にて、認知症患者との共生と予防を両輪とした基本的な方針を策定し、認知症の進行段階に応じた様々な施策を掲げています。
例えば、①認知機能の低下がない人には、認知症発症を遅らせる取組みを、②認知機能の低下がある人には、早期発見・早期対応や認知症発症後の進行を遅らせる取組みを、③認知症患者には、認知症患者本人の視点に立った方策を打ち出しています。
軽度認知障害(MCI)と認知障害の進行プロセス
認知症予備軍といわれる軽度認知障害の患者数は、2012年時点で約400万人と推計されています。認知症の進行を遅らせるためには、軽度認知障害の時点でケアを開始することで、認知症発症を遅らせる効果が期待されています。
認知症に備えておきたい費用
認知症になった場合、検査や投薬等の治療にかかる費用に加え、多くの場合、介護サービスの費用が発生します。
認知症介護経験者へのアンケートでは、住宅改修費などの一時的にかかる費用として約50万円、年間の治療や介護サービスなどでかかる費用として80万円が平均的に発生していることが分かりました。そのため、5年間で見ると、約464万円がかかるとされ、「認知症保障保険 認知症サポートプラス」では、その費用を賄う程度の保険金(500万円)を設定しています。
まとめ
日本生命の新商品「認知症保障保険 認知症サポートプラス」について詳しく解説してきました。
認知症に加え、軽度認知障害の診断時にも保険金を受け取れる点は、太陽生命や第一生命などの他社商品に比べても幅広い保障内容となっていて魅力的です。
また、指定代理請求制度など、認知症になった後にでも代理人が保険金を請求できる制度があることで給付漏れを防ぐなど、優れた生命保険といえるでしょう。さらに、ニチイ学館のプロに電話相談ができるといった付加サービスも充実しています。
保障範囲が広い反面、保険料は比較的高く設定されている点を踏まえて加入有無を検討する必要があります。
生命保険商品は保険会社によって様々なので難しいですね。保険は安い買い物ではありません。まずはファイナンシャルプランナーと納得いくまで無料保険相談することをおすすめします!
コメント