FIREを目指す人に生命保険は必要か【現役FPが解説】

生命保険
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この記事では、FIRE(早期リタイア)を目指す人が知っておくべく生命保険のメリデメを解説していきします。独身者・家庭持ち、世帯収入により、必要な生命保険の商品や保険会社が異なる中、どのように生命保険を見定めるべきか、一緒に考えていきましょう

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結論

  • 投資や貯蓄により入院や手術の想定外の出費に備え、医療保険や入院保険といった疾病リスクに備えるべき
  • 配偶者や子供がいる場合は、死亡リスクに備える生命保険に加入すべき
  • 死亡保険や重度疾病保険の代わりとして、不動産投資で用いられる団体信用生命保険も活用しよう

生命保険とは何か

生命保険には保障性商品貯蓄性商品の大きく2種類あります。

保障性商品は、死亡保険・医療保険といった将来の身体や生命に大きな影響を及ぼす事象が発生した際に、保険金や給付金を支給するものです。一方、貯蓄性商品は、リタイア後の老後資金ニーズや死亡後の相続人数に備える商品です。

 貯蓄性保険は、主に老後の資金ニーズに備えるものであり、FIREを目指す私たちは株式や債券、その他の金融資産で備えているため、必要ではありません

金融マン夫
金融マン夫

FIREを目指す私たちは米国株等で資産形成をするため、貯蓄性の生命保険は不要です。

FIREを目指す人にとっての生命保険のデメリット

最近では YouTuber や個人ブログ等で、FIRE を目指す人は生命保険に加入すべきかついて取り上げられています。 よく言われているのは、生命保険は定期的に保険料を支払い、その分リタイアのための投資額は減少するため不要であるという論調が見られます。しかしファイナンシャルプランナーからすると、それは大きなリスクを抱えることになります。 生命保険では、死亡時や重度の疾病に罹患した際に保険金や給付金を受け取ることによって生活資金をまかなうものです。

リタイア後には働いていた時のような定期的な収入がありませんので、もし重度の疾病にかかり資産運用ができない、または、予測していたよりも多くの資金が必要になったといったケースが発生する可能性があります。 そうした想定外の出費が発生した場合でも自分自身や残された家族が幸せに生きていくためのお金を用意していくために生命保険というものは必要と思います。より幸せなFIRE後の生活を過ごすためにも、生命保険は不可欠といえます。

 一方で、FIREを目指す人にとっての生命保険のデメリットについて、正しく理解しておく必要があります。 一番大きなデメリットは定期的に保険料を支払う必要があるということです。保険料は、保険会社や商品によって大きく異なりますが、例えば30歳の男性が医療保険や死亡保険に加入していると、月々5000円から1万5000円謎の保険料が発生し、その部分が貯蓄に回せないということになります。 しかしながら、この保険料を必要経費として見込み投資額から除外する、または、節約により貯蓄に回す金額を増やすことができます。

FIREをいち早く達成することは一つの重要な目標かもしれません。しかし、大きな病気や死亡のリスクに備えるために生命保険に加入しておくことは、より幸せなリタイア後の生活を送るためにも重要と言えます。

金融マン夫
金融マン夫

FIREを目指す人は、保障性の生命保険で生活のリスクに備えましょう!

FIREを目指す人が加入すべき保険種類

ここからは、どのような保険に入るべきなのかということについて考えていきましょう。

結論としては、入院や手術などの想定外の出費に対する医療保険・入院保険、入院に伴い収入が減少した際の備えとしての就業不能保険、死亡時の保障を賄う死亡保険や学資保険に加入することが必要といえます。

就業不能保険

日々の生活の中には、不慮の交通事故やケガ、病気により、入院するリスクが潜んでいます。私たちFIREを目指す人は、会社からの給料を元手に、定期的に資産運用をしていますが、入院すると医療費や入院費で出費が増えるだけでなく、給料が減ってしまいます。就業不能保険で入院時の収入減少リスクに備えることにより、FIREに向けた資産積立て計画に支障を来すことを一定防止することができます。

医療保険とは、がん保険や三大疾病保険、五大疾病保険といった特定の疾病に罹患した場合に給付金が支払われる保険商品です。例えば 三大疾病保険とは、脳卒中等の脳の疾患、心筋梗塞等の心臓の疾患、がんといった多くの日本人が罹患する疾病への備えをする保険です。

なお、同じ保険商品であっても、保険会社によって支払条件が異なるため、注意が必要です。例えば、がん保険でも、「がん」の定義が保険会社によって異なるため、支払われる条件が異なります。例えば、上皮内がんの場合には「給付金を給付しない」や「給付金の10%のみ支給する」といった制限があるものもあるので商品選びの際には注意が必要です。

個人では、詳しい支払い条件まで理解し、比較することは容易ではありません。金融に関する知識を持つ信頼できる経験豊富な専門家FPと、納得いくまで相談することを強くお勧めします

どの販売チャネルで保険の相談をすべきか

生命保険をどの販売チャネルから買うの加入するのかということも大切です。日本の生命保険業界には、大きく四つのチャネルがあります。

営業職員

一つ目は営業職員チャネルです。大手生命保険会社や伝統的な生命保険会社などが女性を中心とした営業職員チャネルをもっています。これは、戦後の戦争未亡人の社会進出のために女性を採用した名残が今も残っているためです。また、外資系などでは、男性を中心とした優秀な営業職員チャネルを持つ会社もあります。他にも、男女混合の営業職員チャネルを持つ生命保険会社もあります。

営業職員チャンネルの特徴は、特定の生命保険会社(通常は1社)の保険商品のみを取り扱っている点です。そのため、世の中には同じような商品が複数の保険会社から提供されているにも関わらず、特定の保険会社の商品の中からしか提案をできません。複数会社の商品性を比較できないことから、デメリットとして、もっと顧客に合った保険商品がある場合や、似た商品性であってもより価格の安い他社の商品があるいったことが挙げられます。

しかしながら、大半の保険商品は細かい支払条件等を除けばほぼ似たような商品性のため、あまり気にする必要はないでしょう。

保険ショップ

次に保険ショップという販売チャネルがあります。例えば、駅前などで店舗を構え、複数の保険会社と販売契約を締結し、複数の商品の中から商品を提案する販売チャネル です。 保険ショップでは、複数保険会社からより自分に合った商品を選べること、また価格を重視したい場合や、保険会社の財務健全性などを比較考慮した上で加入したい場合におすすめです。

銀行

銀行窓販チャネルとは、メガバンク・都市銀行・地方銀行が代理店として生命保険を販売するものです。銀行窓販チャネルで扱う商品は、主に貯蓄性商品です。上述の通り、FIREを目指す私たちは、株式等の金融商品で資産を増やしているため、貯蓄性の生命保険商品は不要となります。よって、銀行窓販チャネルで生命保険に加入する必要はありません。

ダイレクト(オンライン・郵送)

最後に、オンラインや通販といったダイレクトチャネルについてご説明します。ダイレクトチャネルは、生命保険会社が人を介さず生命保険商品を直接消費者に募集・販売するものです。ダイレクトチャネルの特徴は、特定の会社の保険商品を販売する有人チャンネルを使わないため、保険料が比較的安価であるという点が、私たち消費者にとって魅力的といえます。私たち消費者は、自分自身に合った商品を自分で考え選定し、加入申し込みができます。

ダイレクトチャネルには、営業職員等の人と会わずに生命保険に加入できる、価格が安い、という利点もありますが、生命保険商品は相当複雑なうえ、価格も安くないものが多いため、自分自身に合った商品を選ぶためには、ファイナンシャルプランナー(FP)資格を持つ専門家(営業職員・保険ショップ)と保険相談することを強くお勧めします

チャネル主な生命保険会社主な商品種類特徴
営業職員
(女性メイン)
日本生命、第一生命、
明治安田生命、住友生命
保障性・ 貯蓄性の組合せ人的資源が豊富なため
災害時の支払に強み
営業職員
(男性メイン)
プルデンシャル生命、
ソニー生命
貯蓄性単品コンサル力が強い
保険ショップアフラック生命、
はなさく生命
保障性単品比較推奨が可能
銀行窓販第一フィナンシャル生命一時払の 貯蓄性単品リタイア層が中心
ダイレクトアクサダイレクト生命、
ライフネット生命
保障性単品低価格だが災害時の
支払体制に留意
生命保険のチャネル別特徴

上述の通り、生命保険の販売チャネルには、営業職員・保険ショップ・銀行窓販・ダイレクトがあります。私が最もお勧めするのは、大手生命保険会社の営業職員チャネルです。なぜなら、適切な保険金・給付金の支払いが期待できるためです

私たち消費者が最も保険会社に期待する役割は、支払事由が発生した際に確実に支払ってもらうことです。2011年3月11日に東日本を襲った東日本大震災の際、大手生命保険会社は、営業職員を使って契約者・被保険者一人一人の安否確認を行い、保険金・給付金が必要なお客様を自ら探し、保険金を支払うといった活動を徹底(日本生命の対応はこちら)して行いました。 一方、営業職員チャネルを持たない生命保険会社(保険ショップや銀行窓販のみで保険販売する生命保険会社)は、顧客に足を使って訪問することも行わず、ただただ顧客からの支払請求を待つのみでした。

金融マン夫
金融マン夫

保険は安い買い物ではありません。

私たちは、将来のリスクに備え、必要な保険料を支払い、そして必要な際には保険金・給付金を受け取ることができる保険会社を選ぶべきです。そのため、安易に価格だけで判断すべきではなく、保険会社の販売チャネル や商品性、その他にも保険会社の財務健全性についても考慮の上選定することが重要です。(生命保険契約は10年・20年に亘る長期契約なので、契約相手である保険会社の経営状態も確認する方がベターです)

保険加入時には、商品種類や価格、経営状態に加え、自身の世帯構成やライフプラン、FIRE計画など、様々なことを考慮に入れたうえで契約の判断をする必要があります。一人で考えず、納得いくまでファイナンシャルプランナーとすることを強くお勧めします

まとめ

FIREするために運用している資産には、一般的に、疾病や入院といったリスクをカバーする機能をもつものはないため、FIRE後の幸せな生活を送るためにも、入院や手術などの想定外の出費に備える疾病リスクを賄う医療保険・入院保険に加入することをおすすめします。 また、入院時の収入減少に備える就業不能保険も、計画的なFIRE計画を進めるためには重要です。配偶者や子供がいる場合には、疾病リスクに加え、重度障害や死亡リスクにも備えるべく、死亡保険や学資保険に加入することを検討してみてはいかがでしょうか。

今回は、想定外の将来のリスクに対応するために生命保険に入ることをお伝えしてきました。生命保険は商品性が複雑なため、自分に合った商品を選ぶことは簡単ではありません。納得いくまでファイナンシャルプランナーと保険相談のうえ、加入することを検討ください

実は、死亡リスクや重度疾病リスクに備える方法には生命保険以外にも、「不動産投資における団体信用生命保険」というものもあります。こちらについては別途記載しますのでご覧下さい。

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